『前回と同じに』では、できません。

 お客様の中にはタイトルの通り、『前回と同じに仕上げてくれ。』と言って、さっさと帰ってしまう方がいらっしゃいます。おそらくお客様は、「前回のお直しが良かったから、それと同じ寸法でやってくれ」、って意味で言ってくるのだと思いますが、“全く同じ洋服”は存在しません。

 基本的に洋服の縫製は人の手で行われています。縫うのはミシンですが、操っているのは人です。同じ形の既製服でも、縫製した人が違えば、微妙に違いが出ます。さらに検品も、日本製ではメチャクチャ厳しいですが、海外製では案外縫製が悪くても製品になったります。

裁断、縫製、生地、糸…等、洋服お直しをやっていると基本的に洋服に同じモノがない事が分かってきます。ですので、同じ服でも『前回と同じ』寸法でお直しすれば同じ着心地になるか、というとそうとは限りません。まして、1センチでも違えば見た目や着心地が違ってくる事もあるのに、『前回と同じ』は通用しません。どうか、ご理解いただき、お手間でもしっかり寸法とお話を聞かせていただきたいです。