時代遅れと最先端。

 当店の常連のお客様に、お琴の先生をしているご婦人がいらっしゃいます。その方が、以前何気なく言っていた言葉があります。
 「この道は、辛抱が大事なんですよ。」
これはお琴の技術に限らず、私達が扱う洋裁の技術、そしてあらゆる分野の技術習得に通じるのではないでしょうか?

 さらにこのご婦人は、「だから今の若い人にはなかなか(お琴の技術が)根付かないのかもしれませんね。」と続けました。
 今は人生の選択肢も多いです。一つの技術をできるようになるまで辛抱して耐えるなんて、時代遅れかもしれません。
努力、辛抱、忍耐…、若者が敬遠しがちな言葉です。今の時代では、簡単に短い時間で大きな成果っていうのが求められている気がします。

 ですがその一方で、凄い成果を出し続けるのもまた若者です。彼らは皆、努力、辛抱、忍耐…、を乗り越えてきた結果、成果を出し続けているのか、というと違う気がします。成果を出す人間って、嫌なことをしていない気がします。楽しそうに技術を極めていきます。

 お琴の技術も洋裁の技術も今の時代に必要な技術か、と問われれば、必要ないのかもしれません。でも、今の時代に成果を出す人は、好きなことをやり続けている人です。どんな技能でも楽しんでくれる人がいる限り、お琴も洋裁も無くなることはないと思います。